teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]


新着順:14/589 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

日記4 ありがとう、MOVE。そしてさようなら!

 投稿者:名前なき  投稿日:2014年 7月26日(土)13時35分14秒
  通報
  でも思うほど食は進まなかった。熱いラーメンからの湯気、そのせいか急に視野がぼやける。メガネを外してもそのまま。ラーメンスープよりももっと熱い何かが胸の底から一気にこみ上げてきた。抑えられない悲しみに全身が包まれた。この悲しみの正体は一体何なのか?しかし、私はすでに答えを知っていた。今感じるこの感情はMOVEに対する愛情とか長年の仕事をやめたマスターに関する心配とかは無関係という事実を。単純に自分が気楽に通ってたお店がなくなり、新たにそのような場所を早く見つけないとのあせり、再びMOVEのような店が現れないかもとの不安、それに過ぎないものだということを。もし明日にでもお気に入りの場所ができたらおそらくすぐMOVEを忘れるかも、そんな薄くて軽い自分が、嫌悪感を隠すため今日こんな大げさに行動したというのを。
 誰にちらちらと見られている感じがした。気付くと店の客は自分一人だけ、慌てたように急いでラーメン屋を出た。狭くて細い道から抜け出すとすぐ大井町駅。改札を通って慣れた足取りで家の方面に向かった。電車はゆっくりと速度を低減しながら目の前に止まった。人々が降り、ドアをしばらく開けたままの状態で私を待ってた。私は電車の中に足を移そうとしたが再び元の場所に戻った。まだいつも乗っていた最終電車がある。
 昨日、MOVEの最終日。足の踏み場もなく、満杯になったMOVEの中の人々で悲しみに浸って暗い表情の人は一人もいなかった。十数年の間、孤独な我々の魂を温かく、優しく撫でてくれたMOVE。私はまだ自分がMOVEに別れの挨拶さえ送ってない事に気が付いた。自分の居心地いいところがなくなるのだけが悲しくて。短い時間だったが幸せだったと、第2のMOVEを必ず見つけてあそこで会った人々にMOVEを語りたいと。
 最終電車を知らせる案内放送と一緒に客をたくさん乗せた電車が安全音を鳴らしながら私に滑るようにゆっくりと近づい来た。










 
 
》記事一覧表示

新着順:14/589 《前のページ | 次のページ》
/589